COLUMN

家づくりコラム

事前審査から本審査まで 住宅ローン審査の流れと対策
2025/02/22家づくりコラム

家を建てる・家を買うときに多くの方が利用する住宅ローン。一生に一度使うか使わないかという住宅ローンには「わからないことだらけ!」という方も少なくありません。なかでも不安に感じやすい「住宅ローンの審査」について、掘り下げて解説していきます。
事前審査から本審査まで 住宅ローン審査の流れと対策

住宅ローン審査の基本概要


クレジットカードの契約、スマートフォンの分割払い、自動車ローンなど皆さんも日常的に「審査される」という場面は経験しています。住宅ローンの審査が他のローンと異なる点は、「1回の契約に対し審査が2回ある」という点でしょう。審査を含めた大まかな流れは以下の通りです。

1. 事前審査に申し込む
2. 事前審査の通過(結果)の連絡
3. 正式な住宅ローンの申し込みと必要書類の提出
4. 本審査
5. 本審査の結果の連絡
6. 契約
7. 借り入れ

事前審査と本審査の違い


住宅ローンの審査は、「事前審査」と「本審査」の2つの段階に分かれます。

事前審査では、住宅ローンを申し込む際の基本的な返済能力や年収、借入可能額について簡易的に調査します。いくらくらいまで融資が可能か、金利はどの程度優遇されるのかといった点を判断し、ある程度のお墨付きをもらうための審査です。当然ながら、事前審査を通過した金融機関でないと本審査は受けられません。

本審査では、事前審査よりも詳細な情報をもとにして、より厳密な審査が行われます。本審査に通らないこともあるため、事前審査での結果には過度に依存せず、しっかりと準備を整えることが重要です。

審査の重要項目


住宅ローン審査において、以下の項目が特に重要視されます。

年収


返済能力を示す最も基本的な指標です。金融機関は、借主が安定した収入を得ているかどうかを確認し、返済を継続していくことができるかどうかを見極めます。また、年収に対して年間でいくらを返済に回せるのかという「返済比率」という指標も重要視されます。

雇用形態と勤務年数


正社員か非正規社員か、または自営業か会社役員かといった雇用形態が審査に大きな影響を及ぼします。さらに、同一企業での勤務年数も重要視され、一般的には長期間同じ職場で働いている方が高評価を受けます。昨今は転職したばかりの方も借入対象にしている金融機関も増えているので、勤続年数が短い方はあらかじめその旨を住宅会社の担当に伝えておくとよいでしょう。

健康状態


健康状態も審査の一部です。特に長期的な返済が求められる住宅ローンでは、借主が健康であることが重要とされます。住宅ローンには団体信用保険という生命保険のようなものに加入することが多いので、持病のある方などは利用が難しくなる可能性があります。

信用情報


過去の借入履歴やクレジットカードの利用履歴などが含まれる信用情報も審査には欠かせません。信用情報に問題があれば審査に通るのが難しくなります。

担保価値


購入予定の物件の価値も審査に影響します。金融機関は、万が一返済が滞った場合に融資額を回収できるかどうかを見極めるために、担保価値を重視します。

審査に必要な書類


住宅ローン審査に必要な書類は多岐にわたりますが、主なものとして以下が挙げられます。
本人確認書類: 運転免許証やマイナンバーカードなど、借主の本人確認ができる書類が必要です。
収入関連資料: 給与明細書や源泉徴収票、確定申告書など、借主の収入を証明する書類が求められます。また、雇用関係を確認するために社会保険証の提示も必要です。
物件関連資料: 購入予定の物件に関する資料として、不動産売買契約書や物件の間取り図、登記事項証明書などが必要となります。
その他の書類: 健康診断書や家族構成を確認できる戸籍謄本、住民票なども必要になることがあります。

これらの書類を事前に準備しておくことで、スムーズに審査を進めることができます。資料が不足していると審査が遅れる可能性があるため、早めに確認しておきましょう。
事前審査では本人確認書類と社会保険証、給与明細もしくは前年度の源泉徴収票を提出するのが一般的です。自営業の方は収入の証明として3年分の確定申告書、会社役員の方は3年分の会社の決算書が必要となることがあります。

事前審査を行う際のポイント


住宅ローンの事前審査を行う前に、ローンに通りやすい資金計画を立てておくことが大切です。年収と希望借入額のバランスや世帯年収での審査など、さまざまなプランを考えておきましょう。

返済比率と審査金利


借入期間中に金利の変動がない固定金利のフラット35では、返済比率は年収400万円未満で30%、年収400万円以上で35%を目安としています。返済比率は金融機関によって変わる場合もありますが、多くは同じ比率を使って判断しています。

家の予算を決める時は、返済比率をクリアできる借入総額を目安にして決めるとよいでしょう。予算も借りられる金額もわからずに家づくりをイメージしてしまうと、予算オーバーになってしまうことが少なくありません。無理なく返済できる金額の範囲内で素敵な家を建てようと考えることが大切です。

では、年収300万円の方をベースに、返済比率から借りられそうな住宅ローンの総額を計算してみましょう。年収300万円の人の場合、返済比率30%は90万円、12か月で割ると、毎月7万5千円です。ほかの借入も含めて、月7万5千円までが支払いに回せる金額として判断されます。

では7万5千円×12か月×35年で3150万円が借りられるのかというと、そうではありません。住宅ローンには利息が発生し、変動金利では0.3~0.8%前後、全期間固定金利では1.3~2.1%前後の金利がかかります。そのため、利息を含めて7万5千円に収まる金額が借入可能額になるので、金利2.1%なら2200万円ほど、金利0.3%なら2900万円ほどといったように借り入れできる金額が変動します。

さらに、事前審査には「審査金利」というものがあります。審査金利と借入金額が同じ金融機関もあれば、審査するときは金利3%で計算されて借り入れる時は金利0.4%で契約するといった金融機関もあります。

住宅ローンは長期返済になるので、ライフスタイルの変化などによって収入や支出が変動することも十分あり得ます。余裕をもって返済できるよう審査段階で余裕分を考慮してくれているようなイメージで考えていただければよいでしょう。

収入合算やペアローンの検討


契約者一人の年収では、家を建てるのに必要な金額が借りられないということも多くあります。土地の購入費用、家の建築費用、諸費用や外構工事など、設備や性能にとことんこだわると家にかかる金額に天井はありません。

例えば土地の購入と家の建築費用で3500万円必要となることが想定できている場合、配偶者の年収を合算することで借入希望額を借りられる可能性があります。

夫も妻も年収300万円だと仮定しましょう。1つのローン契約で収入合算をした場合、多くの金融機関では配偶者の年収の半分を加算することができます。すると年収450万円として返済比率や借入可能額を計算してもらえます。

また、家の総額に対して夫と妻それぞれが半額ずつローンを契約するペアローンという手段もあります。ローン契約が2本になるので手数料や手続きも2本分になりますが、借入可能額を大幅に増やせるのが魅力です。ただし、団体信用保険はそれぞれ自分の契約分にしかつかないという点や、子供ができて一方の収入が大きく減った場合にもう一方が連帯保証人として補填しなければならないという点がネックです。ライフステージの変化によって返済が苦しくなることも考えられるので、ペアローンを検討する際はより将来設計をしっかり行っておくことが大切になります。

本審査に進む際の注意点


家の購入や建築の契約を行い、購入の総額が確定した段階で本審査を行います。事前審査時の金額から大きく増えてしまうと事前審査からやり直しになることもありますので注意が必要です。事前審査時に提示された借入可能額の範囲内で内容が確定したら、本審査に進みましょう。

本審査の目的


本審査の目的は、住宅ローンを借りる際に最終的な融資の可否を決定することです。事前審査で大まかな返済能力を確認した後、より詳細な情報を基に審査を行います。具体的には、借り手の年収や雇用形態、信用情報、さらに物件の価値などを検討します。本審査に通ることができれば、実際に住宅ローンを借りることができます。

本審査での必要書類


住宅ローンの本審査に進む際は、以下の書類を金融機関に提出します。
・住宅ローンの申し込みに関する書類
・本人確認ができる書類
・前年の収入を証明する書類
・勤務先を示す書類
・家族に関する書類
・購入物件についての書類
・その他の状況に応じて必要になる書類

用意する書類の詳細は金融機関によって異なります。手続き前にしっかりと確認しておきましょう。

住宅ローン審査を成功させるためのポイント


住宅ローンの審査に通らない割合は、事前審査で10~15%、本審査で5%ほどといわれています。10人に1人は事前審査が通らなかった金融機関があり、事前審査が通った金融機関で本審査に通らなかった方も20人に1人くらいいるということですね。
住宅ローンの審査に通らない原因をいくつか知っておくことで、対策が可能です。

勤続年数や年収が足りない


審査申し込みに必要な勤続年数や年収は、金融機関によって異なります。ご自身でネットから仮審査に申し込む場合は、よくサービス内容や条件を確認し、その金融機関が設定する勤続年数等の条件をクリアしたうえで申し込みましょう。住宅会社等を通して申し込む場合は、あらかじめ担当者が大丈夫そうな金融機関を判断しておすすめしてくれます。

勤続年数は、3年以上あればほとんどの場合問題ありません。あとは「1年以上」「半年以上」「1か月以上」と定めているケースがあります。1年未満の勤続年数で申し込む場合は、源泉徴収票ではなく給与明細で年収を判断されます。年収不足については、借入希望額を下げればOKというような打診の連絡があることが多いです。

信用情報が芳しくない


住宅ローンの審査に通るためには、信用情報の確認と管理が重要です。信用情報は、金融機関があなたの返済能力を評価する際の重要な指標としています。クレジットカードや携帯代金、ローン等の支払いが遅れたことがある人、過去に債務整理をしたことがある人などは、信用情報に記録が残ります。残った情報は5~7年ほど保存され共有されるので、過去に滞納や債務整理をした人は一定期間ローンの契約などができなくなってしまうのです。

信用情報に懸念点がないかどうかを知るためには、CIC・JICC・KSCといった信用情報機関が保有している信用情報の開示を行います。郵送での発行のほか、インターネットでの開示も可能です。
指定信用情報機関(CIC) https://www.cic.co.jp/index.html
日本情報信用機構(JICC) https://www.jicc.co.jp/kaiji
全国銀行協会(KSC) https://www.zenginkyo.or.jp/pcic/open/

健康状態がよくない


住宅ローンの審査では健康状態も考慮されます。特に長期間にわたるローンでは、健康に問題がないことが重要です。定期的に健康診断を受け、健康状態を良好に保つことが求められます。また、既往歴がある場合は、その情報を正確に提供することが大切です。

住宅ローンでは団体信用保険に加入することが多いのですが、ローンの申し込み時点で特定の病気にかかっている方は加入できない可能性があります。そのような場合、加入基準が緩和されたワイド団体信用保険等ほかの団信に加入することや、少し高い金利が適用されるといった条件で申し込むことを検討しましょう。

事前審査に落ちたらもう住宅ローンは借りられない?


「建売住宅を購入したい、注文住宅を建てたいと思って事前審査を行ってみたが通らなかった。もううちは家を持てないかもしれない」という方も、まだあきらめないでください。もしかしたら、司法書士への相談や金融機関の変更などを行うことで住宅ローンの事前審査に通過できるかもしれません。

審査に落ちたら信用情報開示をしよう


住宅ローンの審査に落ちた場合、まずは落ちた理由を把握することが重要です。一度目の事前審査の前に信用情報照会を行っていなかった場合、担当営業からも「信用情報を開示してください」といわれるはずです。

信用情報機関は、CIC・JICC・KSCの3つです。それぞれの特徴は下記のとおりです。

指定信用情報機関(CIC) https://www.cic.co.jp/index.html
・クレジット会社の共同出資により1984年に設立された信用情報機関
・保有する信用情報は、他の2機関と比べても最も多いと言われている
・クレジットカード会社や消費者金融などが加盟している

日本情報信用機構(JICC) https://www.jicc.co.jp/kaiji
・消費者金融が中心となって1986年に設立された信用情報機関
・加盟している金融機関の数が最も多い
・消費者金融から銀行まで、さまざまな金融業者が加盟している

全国銀行協会(KSC) https://www.zenginkyo.or.jp/pcic/open/
・全国銀行協会(JBA)によって運営されている信用情報機関
・メガバンク・地方銀行・ネット銀行・信用金庫・信用組合が加盟している
・加入条件は最も厳しい

CICとJICCの2種類を開示すれば、ほぼ網羅的な情報を得ることができます。
この開示情報に「異動情報」や滞納を示すマークが記載されていると、ローン審査には通りません。

開示した信用情報を担当営業や司法書士に見せて相談しよう


信用情報開示を行い、仮に異動情報や延滞情報が記載されていても、まだあきらめないでください。情報には登録期間があり、期間を過ぎた情報は消してもらうことができる場合があります。自分ではよくわからないという場合は、担当営業や司法書士に開示情報を見せ、正直に状況を説明しましょう。そうすることで、ローン審査に通るためにすべきことが見えてくることも多いです。

他の金融機関に事前審査を申し込もう


信用情報に問題がないことを確認したうえで、他の金融機関に事前審査に申し込んでみましょう。金融機関ごとに審査基準や重視するポイントが異なるため、一度落ちたからといって他の金融機関でも通らないとは限りません。再審査を申し込む前に、金利の種類に注目し、固定金利なのか変動金利なのかを確認すると良いでしょう。異なる金利タイプのほうが審査に通りやすい場合もあります。

再審査を行う際の注意点


再審査の際には、短期間に複数の金融機関に審査を申し込みすぎないことが大切です。数を打てば当たる戦法は金融機関に対して印象がよくありません。事前審査に申し込んだ場合、信用情報に「申し込みをして通過しなかった」という履歴が3か月ほど残ります。短期間であまりにも多くの金融機関に申し込みをしてしまうと「この人こんなに申し込んでいるの?」と思われてしまいます。それが通っていなければ、なおさら「よそが通さないだけの理由があるのだな」と警戒されてしまいますよね。事前審査とはいえ、申し込みをする際は2~3社までに絞る、期間を空けて申し込むなどの工夫をするようにしましょう。

まとめ


住宅ローンの審査に通るかどうかは「家を持てるかどうか」を左右する大きな壁です。なんなく飛び越えられる方もいれば、小さな壁をいくつも乗り越えてからでなければ乗り越えられない方もいます。
それでも、あなたはもちろん、住宅会社の営業も、銀行の担当者も、「何としても通す」という気持ちを持って取り扱っています。もし審査で躓いてしまった場合は、プロの助けを借りながら一緒に乗り越えていきましょう。
カシワ建設では、住宅ローンアドバイザーやファイナンシャルプランナー資格を持つスタッフが対応いたします。「自分が家を建てられるなんて思っていなかった!」という方にも素敵な注文住宅をお届けしてきました。ローン審査が不安だという方は是非一度ご相談ください。

ARCHIVES全 26 件の記事があります

Page Top