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家づくりコラム

自分にピッタリの住宅ローンを見つける!選び方ガイド
2025/02/20家づくりコラム

家の購入時に多くの方が利用する住宅ローンは、自動車のローンとは違って一人が何度も利用するものではないので、なかなか全容がつかみづらい部分があるでしょう。何十年も支払い続けるものですから、慎重な選択が必要となります。そこで、初めての住宅ローン選びのコツをご紹介していきます。
自分にピッタリの住宅ローンを見つける!選び方ガイド

住宅ローンの基本知識


まずは住宅ローンのざっくりとした全体像を把握しましょう。住宅ローンと一言でいっても、さまざまな種類や特徴があります。

住宅ローンとは


住宅ローンとは、住宅を建築・購入するために金融機関から借りるお金のことを指します。住宅ローンは、多額のお金を一度に用意することが難しい場合に利用され、毎月の返済計画に基づいて返済していきます。金利や返済期間、借入額などにより返済額が変わるため、自分に合ったプランを選ぶことが大切です。金利には「固定金利」や「変動金利」などの種類があり、それぞれ特徴が異なります。住宅ローンは専門的な知識を持つ人に相談しながら、慎重に選びましょう。

住宅ローンの種類


住宅ローンには民間ローンと公的ローンの2種類があります。民間ローンは、銀行や信用金庫などの金融機関、一部の保険会社などが提供しているもので、一般的には民間ローンを利用する方が多いです。公的ローンは、機構や自治体が提供するローンで、財形貯蓄の残高が一定以上ある方が利用できるものとなっています。

民間ローン


銀行や信用金庫などの金融機関が主に行っている住宅ローン。借入上限金額が大きく設定されていますが、借入可能額は年収やほかの借り入れによって前後するのが特徴です。また、審査基準が各金融機関やサービスによって異なり、年収は200万円以上からの商品が多く、勤続年数は1年以上必要とされるものもあれば、1か月の勤務で審査可能なものもあります。

都市銀行や地方銀行、ネット銀行と金融機関によって借入金利が異なり、加入する団体信用生命保険の補償範囲なども異なります。生命保険のように各社を比較しながらどこの住宅ローンを選択するかを判断することが大切です。

民間ローンのメリットは、「借入可能額の範囲が広いこと」「低金利なものを選択できること」「団体信用生命保険の保証が充実していること」「変動金利の場合は支払金額の変動を抑えるルール(5年ルール・125%ルール)が適用されていること」などです。一方のデメリットは、「審査が厳しく希望の金融機関で借りられない可能性があること」「適用金利の決定は申込時ではなく借入時(家の引き渡し前後)になること」です。

注文住宅の場合、適用される金利が半年以上先に決まることがほとんどです。金利の動向が全く読めない局面では、その後の返済に大きな影響を及ぼすという点を把握しておきましょう。1年後の金利がどうなるかは銀行の担当者にもわからないので、余裕を持った返済計画が大切です。

公的ローン


公的ローンは住宅金融支援機構や自治体が提供する住宅ローンで、財形貯蓄を1年以上継続し、50万円以上残高を持つ人が利用できます。
借入可能額は残高の10倍までの範囲で4000万円までとなっていますので、民間ローンよりも借入できる額が少なくなりやすいです。

公的ローンのメリットは「借り入れる際の審査が優しい」「適用金利が申し込み時に決まる」、デメリットは「借入可能額が抑えめ」「金利は5年ごとの固定金利制で、支払金額の増加率に上限なし」といった点です。

公的ローンの金利は申込時に決まるので、その点は民間ローンより安心できます。ただし、5年ごとの金利見直しには民間ローンの変動金利に適用される「5年ルール・125%ルール」が適用されないため、急に返済額が増えてしまう可能性も考慮して返済計画を立てていく必要があります。

これらの違いを理解し、自分に合った住宅ローンを選ぶことが重要です。購入手続きを行う前に、しっかりと情報を収集し、最適な選択をするための基礎知識を持つことをおすすめします。

金利の種類と選び方


住宅ローン選びの指標の大きな一つとなる金利。金利は低いほうが支払総額が少なく済むので、それに越したことはありません。しかし、ライフプランやご自身の性格などによって適した金利タイプは異なります。最も納得・安心できるものを選ぶことが重要です。

期間固定金利


期間固定金利は、借り入れから指定した期間まで同じ金利が適用されるタイプの住宅ローンです。固定できる期間は3年・5年・10年・全期間(35年)など、いくつかあります。このタイプの金利を選ぶと、金利が固定された期間は毎月の返済額が一定になるので、しばらくの間は支払額を安定させておきたいという方にお勧めです。

たとえば、「金利上昇が見込まれている局面で10年以内にお子様が立て続けに進学を控えていて教育費がかかる」といった場合に、10年間金利を固定しておくことで支払額も安定し、貯蓄や投資で教育費を確保するために行動できる、といったイメージです。

ただし、固定金利は初期の金利が変動金利よりも高めに設定されることが多いため、総返済額がやや多くなる傾向があります。低金利が続くだろうと判断されるときは、変動金利にしたほうが支払総額が少なく済む可能性が高いので、しっかり検討していきましょう。

変動金利


変動金利は、主に短期プライムレート等の動向に応じて金利が変動する住宅ローンです。初期の金利が比較的低く設定されていることが多いため、月々の返済額も低く抑えられる可能性があります。

しかし、将来的に金利が上昇すると、それに伴って月々の返済額も増加するリスクがあります。金利の見直しを5年ごとに行う「5年ルール」と、返済金額の増加分を前期間の125%までとする「125%ルール」などが設定されているので、急激な増額は起きにくくなっていますが、金利の上げ幅が大きくなると未払い利息が発生する恐れもあります。

低金利の際には恩恵を受けやすい金利タイプですが、金利が上がってくると未払い利息が発生し元金が減らなくなるというリスクもありますので、経済の動きをよく理解し、将来的な金利上昇に対する備えをしておくことが重要です。

フラット35


フラット35は、住宅金融支援機構と提携した金融機関が提供する固定金利型の住宅ローンです。最長で35年間金利が変わらないため、長期の返済計画を安定的に立てることができます。また、公的融資であるため、諸費用や審査条件が明確である点も特徴です。
勤続年数の短い方や、年収に不安のある方でも比較的借りやすいローンでもあります。いくつかのローンを検討する際は、変動金利だけでなくフラット35も候補に入れておくとよいでしょう。

返済方法の違いと選び方


住宅ローンには「元利均等方式」と「元金均等方式」の2つの返済方法があります。元金均等方式は選択できるローン商品が少ない傾向にありますが、利点もあります。ご自身の現在と未来の経済状況を考えて選択するとよいでしょう。

元利均等方式


元利均等返済は、毎月の返済額が一定となる返済方式です。つまり、元本と利息を合計した返済額が毎月同じ金額となります。この方式では、はじめは返済額のうち利息部分が多くを占めますが、徐々に元本返済の割合が増えていく仕組みです。

元利均等返済の最大のメリットは、毎月の返済額が一定であるため、家計管理がしやすい点です。また、長期的な返済計画を立てる際にも安定した見通しが立てやすいです。しかし、初期は利息の割合が多いため元金が減りにくく、総返済額は元金均等返済と比較すると高くなる傾向があります。

元利均等方式は主流の返済方法であり、月々の返済額が安定しているので、借入額が大きく返済期間が長い方にお勧めです。

元金均等方式


元金均等返済は、毎月の元本部分の返済額が一定で、利息部分が徐々に減る方式です。初回の返済額が最も高く、毎月の返済額が次第に減っていく点が特徴です。
元金均等返済のメリットは、総返済額が元利均等返済に比べて少なくなる点です。初期の返済負担は大きくなりますが、着実に元金が減っていくので、後半の返済額が少なくなり、将来的に生活の資金に余裕が出やすくなります。

しかし、初期段階で高い返済額が必要となるため、返済初期に収入が安定していないと負担が大きく感じられるほか、最初の高い支払金額をベースに返済比率を判定されるため、借入可能額が元利均等方式よりもやや少なくなります。

元金均等方式は選択可能なローン商品が限られている場合があり、最初の返済が高額になるので借入額の少なめな方、借入期間が短めの方、老後に多くの支払いを残したくない方にお勧めです。

住宅ローンを選ぶ際のポイント


住宅ローンの基本的な特徴について解説してきましたが、これだけではなかなかご自身で選ぶことは難しいでしょう。住宅会社の営業や提携の金融機関の方とも話し合ったうえで、以下のような観点から、ローン商品を比較してみましょう。

金利の比較


住宅ローンを選ぶ際には、金利の比較が非常に重要です。固定金利型の場合、借入から完済まで金利が変動しないため、返済額が安定します。一方で変動金利型は、市場金利の動向により金利が変動するため、返済額が上下する可能性があります。自分に合う金利タイプを選ぶためには、将来の収入や経済状況を考慮し、安定性を求めるか、低金利の期間を活用するかを判断することが大切です。

同じ金利タイプの商品でも、金利が異なったり付帯する団体信用生命保険の補償範囲に違いがあったり、自己資金の割合や住宅の性能によって優遇があるケースもあります。いくつも挙げて比較をするとキリがありませんが、人気のネット銀行、メインバンクにしている銀行、地域の銀行・信用金庫の3つくらいから選ぶようにすると視野が広がるでしょう。

保証料と手数料


住宅ローンを利用する際には、保証料や手数料といった諸費用にも注意が必要です。金融機関によっては、保証料や手数料が高額になる場合があり、総返済額に影響を及ぼします。特に、抵当権設定費用やシステム利用手数料などは事前に確認しておくことが重要です。また、計画的に繰り上げ返済をして早期完済を目指したいという方は、「繰り上げ返済手数料」もチェックしましょう。いくらからでも何回でも無料という金融機関もあれば、手数料がかかる金融機関もあります。これらの諸費用を含めたトータルのコストをしっかりと比較し、自分に合う住宅ローンを選ぶことが大切です。

借りられる金額よりも払える金額のローンを


住宅ローン選びで大切な点として「借りられる金額MAXのローン」ではなく、「無理なく払えるローン」を選ぶことです。これは住宅ローンの商品選びの話だけではなく、物件選びや注文住宅の予算にかかわることです。どの金利タイプで、金利が何%なのかによって月々の支払額が決まっていきますが、イメージしている総額と月額が実際の金額と差はないか、実際に30年前後の期間支払い続けられるか、というところまでシミュレーションをしましょう。「払える額のローンを組み、その範囲で買える家・建てられる家にする」という視点も大切です。

選び方の実例


リスクがあっても低金利の恩恵を受けたい方は変動金利


政策金利が徐々に引き上げられていますが、2025年2月現在の日本の短期金利はまだ低金利だといえます。今後さらに上がる見込みがあっても、少しでも低い金利で借りられるほうがよいという方は変動金利を選択しましょう。

とはいえ、申し込み時の金利ではなく借入時の金利が適用されますので、これから家を建築し、1年後に引き渡しになるようなケースでは、直前まで固定金利も候補に残しておくようにしましょう。

金利が上がらない安心を保険と思える方はフラット35


固定金利・フラット35は変動金利と比べると1%ほど高い金利が適用されます。支払総額が増えてしまいますが、借入時の金利が35年間適用されるので、数年のうちに短期金利が4%や6%に上がってしまうような事態になっても影響を受けません。
変動金利よりも金利が高く設定されやすいですが、安心に対する保険料として考えられる方にお勧めです。

途中で借り換えを行うのも策の一つ


日本の金利は15年前後横ばいとなっており、変動金利が当然のようになっています。実際、ローンを決める際には7~8割の方が変動金利を選ばれます。しかし、今後は金利が上がる可能性もささやかれています。不安に思われる方は、早い段階で固定金利に切り替えたり、情勢に応じて金利タイプを切り替えられるローン会社を選択したりして自衛していきましょう。

まとめと注意点


住宅ローンは長期にわたるお金の管理が必要となるため、ライフプランと収支バランスを見極めた上で選びましょう。自分に合った金利タイプや返済方式を選び、無理のない返済計画を立てることが大切です。長期的な視点で慎重に選ぶことで、将来の生活に安心感を持つことができます。
住宅ローン選びは複雑で多くの要素を考慮する必要がありますが、一つ一つのポイントをしっかりと理解して選ぶことで、自分に最適なローンを見つけることができるでしょう。

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