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家づくりコラム

こんなところも!?見落としがちな家づくりポイントとは
2025/03/16家づくりコラム

初めての家づくりではわからないことだらけ。一生に何度もすることではないからこそ、失敗したくないのに後々「失敗した…」となってしまうことも少なくありません。
そこで、家づくりで見落としがちな失敗ポイントについて解説していきます。
こんなところも!?見落としがちな家づくりポイントとは

土地探しで見落としがちなポイントは?


家づくりのスタートともいえる土地探し。特に慎重に取り組まれる方が多い一方で、「こんなはずじゃなかった」というポイントが多いのも土地探しの難しいところです。ここで、土地探しにおける条件面で特に注意しておくべき3つをご紹介します。

①市街化調整区域


市街化調整区域は、都市計画上、建物の建設が制限される区域として指定されています。この区域に土地を購入する際には、事前に家を建てるために必要な条件を確認しておくことが大切です。市区町村によってその条件は異なりますが、「その市区町村に住民票を置いている期間が通算して一定期間以上であること」「ほかに市内に住むための土地を所有していないこと」「結婚等で新たに世帯を作るために購入すること」などが多いです。市街化調整区域は土地の広さに対して価格が安いことが多いので、とても魅力的です。しかし、条件を満たす人でないと家の建築ができない点には注意すべきでしょう。

また、既存の地目が田や畑であることが多いので、地目を宅地に変更する手続き(農地転用)や、市街化調整区域に建物を建てる旨の許可を得る手続き(開発許可申請)が必要となります。その分の手続き費用や、田んぼ等として使われていた土地に家を建てられる状態まで整える費用が生じます。それらの費用を踏まえると、そこまで割安ではなかったというケースも考えられますので、事前に土地に対してどのような諸費用が必要になるかを確認しておきましょう。

②セットバック


セットバックとは、道路の拡張計画に備え、建物を道路から一定の距離を保って建築することを指します。基本的には、「幅員4m以下の道路に接している面は、道路の中央から2mの位置まで後退する」となっています。つまり、接している道路の幅が3.6mだった場合、道路の中央から道路の端までは1.8mなので、不足する0.2m分は自分の土地として使わないでください、ということです。

セットバックが必要な土地は、実際に利用できる土地面積が小さくなるため、建築計画に影響を与えることがあります。それだけでなく、道路の幅が狭いことで近隣住民との車でのすれ違いが難しく、車選びにも気を使う必要が出てきてしまいます。

土地情報に記載されている「接道〇m」という文言をよく意識して、実際に自家用車で走ってみる等の検証をしながら土地選びをしていきましょう。

③「古家あり」の土地


都市部では、古い空き家が建っている土地を購入して解体後に新築するという土地のサイクルに入っている地域も多いでしょう。このような土地も、家付きで立地がいい割に安い土地というのが売りに出ることが結構あります。ただし、そのような土地こそ、事前の費用の把握が重要です。

古家の建った時期にもよりますが、現在の建築基準法等では家を新築できない立地になっているケースも少なくありません。例えば、「道路」とみなされない通路等に接していて接道条件を満たしていない土地、「42条2項道路」に接道しているが、車が通れる幅員がなく工事を行うことが難しい土地などです。

また、古家にアスベストが使われていることで解体費用が高額になる可能性もあります。アスベストは段階的に建築物への使用が規制されてきましたが、2006年以前に建てられた建物には使われている可能性があるものとして対応が必要となります。古家付きの土地を購入する際は、アスベストを含有しているか・その調査をしているかを確認しておきましょう。

土地選びの「こんなはずじゃなかった」は他にも


土地選びで「こんなはずじゃなかった」と思う要素は多岐にわたります。すべてに全く不満のない土地というのはなかなかありませんが、不満なことは少ないに越したことはありません。以下のような後悔ポイントを意識し、もしすでに近所に住んでいる知人がいれば印象を聞いてみる等の聞き込み・調査も有用となるでしょう。
・高額な地盤改良工事費用が掛かって家の設備のグレードを下げた
・ゴミ捨て場が近すぎる・遠すぎる
・目の前の歩道が通学路で朝なかなか車が出られない
・子供の学校・スーパーなどが遠い
・最寄り駅が遠い
・自治会費が高い、地域行事が多くて負担
・必要以上に干渉してくる近隣住民がいる
・近所の公園の子供に対する制限がすごく多い
・近くをトラックが通るたびにすごい音がする・揺れる
などなど、上げたらきりがありませんが、土地選びには後悔ポイントが多いのは事実です。一方で、住めば都ということわざもあるように、慣れていくにつれ居心地がよくなっていくこともあります。これから数十年と住み続けていく地ですから、後悔の少ない土地を選べるよう情報収集をしていきましょう。

見落としがちな間取りのポイントは?


土地が決まると、間取りプランを作っていくことになります。間取りづくりは家づくりの中でも特にこだわりが出やすく、後々の後悔も生じやすい部分です。「今の暮らし方」だけでなく、「数年後、数十年後の暮らし」まで考えておかないと、不便に感じる部分が増えてしまう可能性があります。

「実家の間取りのいいところ嫌なところ」「今まで住んだアパート・マンションの良かったところ不便だったところ」なども踏まえながら、あまりSNSの情報に左右されすぎずに考えていくとよいでしょう。

動線と間取り


昨今の間取りは、とにかく「動線」という言葉が多く飛び交っています。くるくる回れる「回遊動線」、効率重視の「家事動線」、ただいまからリビングで落ち着くまでの「帰宅動線」、さらに散らかっていても来客から隠すための「家族動線と来客動線」まで様々です。

動線が多い家は、必然的に大きくなりやすいのですが、ただ通るだけの「廊下」にはせず、通路の幅を広くとって両脇に収納を付けた「ウォークスルー」のファミリークローゼットやパントリーはスペースを有効活用できると人気も上昇しています。

この先家族が増えたり、独立していって減ったり、と様々な変化をしていきます。極端な例えではありますが、間取りを「今の自分たち」もしくは想定できる「数年後の自分たち」に合わせて作るのか、「設計士や営業に勧められた間取りに自分たちを合わせていくのか」によっても必要な家の大きさや間取りの細かさ、実現しやすさが大きく変わってきます。

その間取りで生活している自分たちを想像しながら、間取りづくりをしていきましょう。

収納の量


収納の大きさや配置は、その後の暮らしやすさにも大きく影響します。
例えば、「2階の各部屋にクローゼットを付けたけど、1階の和室にタンスを置いていてみんなそこから服を取っていく」「2帖のウォークインクローゼットにたくさんのものを収納しているけど、入れたものを出した・使った記憶がしばらくない」「リビングにみんなが使いやすい収納スペースがなく、キッチンカウンターが物置場所になってしまっている」などです。賃貸やご実家での暮らしで心当たりのある方は結構いらっしゃるのではないでしょうか。

収納は、ただ作ればいい、たくさん作ればいい、というわけではなく「これをしまうためにこの広さが必要だ」「ここに収納を作るが、このスペースに収まらない分は断捨離していこう」といった明確な用途・目的・容量がないと、「モノの墓場」になってしまいます。

「3帖のファミリークローゼットに家族全員分の衣服を収めよう」「ここは食品ストック置き場、ここは日用品ストック置き場、ここはバスタオル置き場」等、使い方をイメージしながら収納の位置と大きさを決めていきましょう。

間取りの「こんなはずじゃなかった」の例


間取りには多くの「こんなはずじゃなかった」があります。

・総2階にこだわりすぎて2階に4部屋あるけどずっと1部屋余っている
・来客用に和室を設けたけど、来客がない
・玄関近くにトイレを設けたけど来客時に行きにくい
・洗面所と脱衣室が一緒なので娘のスキンケアが長すぎてなかなかお風呂に入れない
・キッチンと脱衣室をつなげたが、子供が成長してからはキッチン側の脱衣室ドアが開かずの間になった
・パントリーを設けたが、玄関から遠い
・勝手口を付けたが、駐車場から遠い
・2階のトイレの音が気になるので間にクローゼットを入れればよかった
・階段の回り部分が転びそうで怖いから踊り場をいれればよかった
・老後のことを考えて1階だけで寝室まで確保できるようにすればよかった

様々な声を参考にして、ご自身の間取りづくりにお役立てください。

細かな「見落としがちポイント」って?


土地と間取り以外にも、細かな「見落としがちなポイント」が多くあります。図面だけでは想定できなかったものや、実際に暮らし始めてから不満に思うものなども多いので、打ち合わせ時によく相談してイメージを共有しておくようにしましょう。

玄関と外観


まず玄関の「見落としがち」なポイント。日々の小さなストレスにつながる部分なので、以下の点についてよく確認するようにしましょう。
・玄関ポーチの広さ(雨に当たらないか)
・宅配BOXの位置(重い荷物の移動・雨の日の回収)
・靴箱の容量
・ホールの広さ(子供と並んで靴が履けるか等)
・上着を掛けるスペースなどがあるか

毎日のルーティンや家を出る時の様子を思い出しながら、「これがあると便利」「こうなっていると不便」というのを想定して希望を取り入れていきましょう。

次に外観です。
・雨樋が悪目立ちしている
・外部コンセントや換気ダクトが悪目立ちしている
・家の正面側にエアコンの室外機が来てしまった
・掃き出し窓が道路に近くカーテンを開けられない

外壁の組み合わせ等にこだわる方も多くいらっしゃる中で、雨といの色やダクト類の色を選べることを知らなかった・提案されなかったというケースが少なからずあります。黒で外観を統一したかったのに、縦に一本白い雨といが通っていたら目立ちますよね。同様に、エアコンの室外機も室内側の配置や処理次第で目立たない場所に移動することが可能なケースもあります。雨とい等の配管、エアコンの室外機や給湯器、外構部にあるマンホールなどは、家にとって必ず必要な設備ではありますが、外観にこだわる方にとってはノイズのようなものでもあります。どのように目立たなくするのか、しっかりと相談するようにしましょう。

窓の位置


窓の位置は、外観に与える影響も、室内側に与える影響も大きいので、特にこだわっていただきたい点の一つです。

外観側に与える印象の影響としては、統一感の有無が挙げられます。海外住宅のデザインでは、基本的に左右や1階と2階の窓のサイズを合わせることが多いです。また、デザイン住宅では、意図的に道路面には窓をつけない、もしくはスリット窓を入れるということも取り入れられています。

大きさや高さがばらばらの窓は、不揃いでバランスが悪く、外観的に印象がよくありません。できるだけ、窓のサイズや高さを揃えると、整った印象に仕上がります。

室内側の窓の位置では、「西日がまぶしい」「隣家が気になる」「掃除が面倒」といった点が挙げられます。採光のためだけの窓はFIX窓にするだけでサッシの掃除がしやすくなるほか、隣の家が近い土地であれば高めの位置に横長に配置することで採光を確保しながら目線を外すことができます。

採光や換気の面で窓は必ず必要な部材となりますが、デザイン性と暮らしやすさを両立できるような配置計画を立てていきましょう。

電気・設備配線


電気関係も、見落としがちで後悔しやすいポイントです。図面上ではイメージしにくく、家の建築が進んで現場打ち合わせで決めていくことも多い電気関係は、特に「多め」を意識して取り決めていきましょう。

特に多い後悔するポイントには以下のようなことが挙げられます。
・コンセントが足りない
・下だけでなく机の上などの高さにもつければよかった
・廊下や階段のコンセント配置は見落としがち
・寝室のダウンライトがまぶしい
・キッチンカウンターのペンダントライトをダクトレールにすればよかった
・玄関・廊下・トイレはセンサーライトを取り入れればよかった
・TV線やLANポートのコンセントの位置が家具の配置とかみ合わない

家具家電やAV機器・PCなどの配置と合わせながら照明やコンセントの位置も決めていく必要があるので、配線計画をするまでに家具家電の配置も大まかに決めておくようにしましょう。

外構も家づくりの一部!こんなところに気を付けよう


家づくりと同時とは限らず、住み始めてから行う方も多い外構工事。住み始めてからの場合は、生活スタイルを考慮した計画も立てやすいですが、新築時に同時に行う場合は予算との兼ね合いもあり、満足な外構計画が難しいケースもあります。「とりあえずここまではやっておきたい」という場合でも、どのような動線・スペースを確保すればよいかを事前に把握し、計画するようにしましょう。

駐車場から玄関までの動線


駐車場から玄関までの動線は、暮らしの快適性を左右する重要なポイントです。特に雨の日や荷物が多い場合、この動線がスムーズでないと生活にストレスがかかります。駐車場から玄関までできるだけ短時間で移動できる設計にすることが理想的ではありますが、土地の形と家の配置によって変わってきます。土地探しの段階から、「車をここに停めて、玄関や勝手口はここがいい」というのをイメージしておくとよいでしょう。

雨に濡れない工夫には、「大きめのカーポートを壁とつなげるように配置する」「ビルトインガレージを設ける」などもあります。費用面に大きく影響するので、どこまでを求めるかは予算と間取りプランと総合的に考えていくべきです。

また、車から玄関までのアプローチには安全性も求められます。段差をなくすことや夜間でも安全に歩けるように照明を考慮することが大切です。

自転車置き場


多くの家庭で必要とされる自転車置き場も、家づくりの際に見落としがちなスペース。特に広さの限られた土地では、自転車置き場の確保は後回しにされがちです。

普段の生活において自転車を使用する機会が多い場合、十分なスペースをあらかじめ計画に組み込んでおきましょう。自転車が複数台になるご家庭ではその分のスペースも必要となります。雨風から自転車を守れる屋根付きのスペースや、利便性を考えた位置に配置することが暮らしやすさを向上させます。

雑草対策


外構の管理では、雑草対策も欠かせません。新しい住まいで気持ちよく生活を始めたのに、庭やアプローチに雑草が生えてくると、その手入れが負担に感じられることもあります。家づくりの計画段階でこの問題を軽減する方法を検討することが大切です。

防草シートの利用や地面を覆う素材の選定など、雑草の発生を防ぐための対策を事前に講じておくと、後々の暮らしがより快適になります。

見落としがちなポイントを意識して家づくりをしよう


家づくりにおいて、見落としがちなポイントをしっかりと意識することは非常に重要です。夢の住まいを形にするときは細かな部分まで配慮することで、日常の暮らしをより快適にすることができます。

土地探しから間取りプラン、外構に至るまでに様々な見落としがちポイントをご紹介してきましたので、あなたの家づくりの際もぜひ気を付けながら取り組んでいただけたら幸いです。予算内で理想通りの家づくりを叶えられるよう、さまざまな工夫を取り入れていきましょう。

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