たくさんの「決めること」が押し寄せる家づくり。一つの住宅会社に向かい、希望条件を伝える時も、その後の設備やオプションを選ぶ時も、さまざまな決めることに遭遇します。
中には、「そんなとこまで決めるの!?お、おまかせで。」となってしまいそうなものまで様々です。そんな家づくりの中で生じる「決めること」を、ステップごとにまとめていきます。
本記事では、まず「家づくりを思い立ってから契約するまで」の期間に決めることについて解説していきます。
STEP1:家づくりの計画段階で決めること
家を建てよう!となったら、まずは家族で家づくりについて話す時間を作りましょう。ご家庭ごとに家づくりへの熱量の配分は異なります。「ご主人と奥様が力を合わせて」「奥様とお母さまがどんどん主導」「お子様の要望第一優先」など、それぞれのご家庭に合ったスタイルで進めていきましょう。①予算と支払方法を決めよう
「資金計画」といわれるとなんだか難しそうな気がしますが、まず予算を決めることが第一です。とはいえ、「一体いくらかかるのか」がわからないと決められないというのも事実。
注文住宅の相場は、群馬県太田市周辺では土地価格+3000万円+諸費用で4000万円ほどといわれることが多いですが、実際はかなり幅があります。土地価格は比較的安定的で、700~1300万円前後が多いです。建物価格については、皆様の年収に差があるように、1000万円を切る建物から1億円を超える豪邸まで幅広くありますから、相場はあくまで目安と考えましょう。
予算を決める方法の一つ目は、「主となる返済者の年収で借りられる住宅ローンの金額+自己資金」です。それが土地価格や諸費用など、家を手に入れるために必要な費用すべてが含まれた予算ということになります。二つ目は、「月々に返せる金額の住宅ローン総額+自己資金」です。年収によっては借りられる額と感覚的に払える金額に大きな差が出てきます。「貯金や教育費も考えて、今の家賃+いくらまで」というイメージで計算すると現実的な金額になるでしょう。
将来的にかかる教育費や生活の備え、老後の費用までちゃんと考えないと不安!という方は、ファイナンシャルプランナーのいる住宅会社に相談してみると全体像がイメージしやすくなるでしょう。
「ペアローンで借入額を増やして予算を増やそう」といったものは、ここではいったんおいておきます。見積もりまでたどり着いて、一人が借入できる金額では足りないとわかってから検討すれば十分です。
②住宅会社を選ぼう
住宅会社を決めるのは、実際は見積もりなどをもらって比較検討をして最後になるのですが、ここで候補になりうる住宅会社を探し始めてしまいます。
家の近くに店舗がある、住宅展示場がある、家のポストにチラシが入っていた、SNSのおすすめに出てきた、など住宅会社を知るきっかけはたくさんあります。SUUMO注文住宅や近所の工務店をお勧めしているサイトを参考にするのもよいでしょう。
ここではまず「カタログをもらう」というミッションをこなします。カタログという資料をもらうことで、「ここはこういう家づくりが得意なのか」「ここは安く建ててくれるんだ」「ここの家はすごく断熱性や耐震性に優れているんだ」といった特徴がわかります。
この後相談する際に候補になりそうな業者を選ぶために、資料を集めましょう。
③土地を選ぶための条件を決めよう
家の条件の前に、土地の条件を決めましょう。土地が決まらないと、家の形も大きさも決められないので、最優先事項となります。
まずは希望を書き出してみます。最優先すべきは「子供の学区」です。転校に抵抗がなければいいのですが、できれば避けたいですよね。あとは「エリア」「職場までの通勤時間」「スーパーなどの商業施設の充実度」「家周辺の道幅は狭くないか」「ほしい広さ」「方角・日当たり」「治安」といった点です。
条件を書き出したら、優先順位を付けます。どれをどこまで妥協できるかを明確にしておくことで、土地探しの候補地が広がります。市街化調整区域がある市町村の場合は、家を建てられる人の条件が設定されているため、そこが候補になるかどうかで選べる土地の数にも大きな差が生じます。事前に「自分は該当するのか」を確認しておくとよいでしょう。
「これだけは譲れない」「これはここまで妥協できる」というのを明確にすることで、土地探しがしやすくなります。実際に土地探しに動き始める際は、住宅会社に全体の予算を伝えたうえで土地探しを手伝ってもらうほうが、その後の打ち合わせを効率よく進められます。
④いつまでに引っ越したいか決めよう
ここで、一つのゴールを決めます。いつまでに引っ越すかを決めてしまいましょう。「子供の入園・入学のタイミング」「賃貸の更新のタイミング」などは設定しやすいですね。ゴールが決まることで、逆算していつまでに何をしなければならないかが決まるので、一気に話が進むようになります。
ただし、家は急には建たないので、9か月~12か月は見ておかなくてはなりません。4月の入園・入学に合わせたいという場合であれば、遅くとも前年の6月には動き始めないと注文住宅は間に合いません。住宅会社や仕様を吟味している時間もないほど忙しくなるのでここは覚悟が必要です。
特に引っ越したい時期はないな~という方は、土地探しや仕様づくりをじっくり進めていけます。ですが、決まったら次に進むというパターンでいると、住宅ローンの審査や土地の契約・支払のタイミングを見計らうのが難しくなるので、やはりある程度「このくらいには」というゴールを定めておくことをおすすめします。
STEP2:どんな家にしたいか決めよう
時期や予算が見えてきて、カタログ等で住宅会社の傾向もわかってきたら、自分たちの建てたい家に対する希望を整理していきましょう。①好きな家のデザインを把握しよう
まずは見た目から入ってみましょう。「シンプルで四角い窓の少ない家」「黒と木目が組み合わさったモダンな家」「アメリカっぽい家」「ヨーロッパみたいな家」「お城みたいな家」「洋館みたいな家」「テーマパークにありそうな家」などなど、いろいろと浮かぶかと思います。
それらの中から好きなデザイン、形、素材、趣味との調和、家族の好みなどを考慮して、おおよその系統を決めておきましょう。この外観のデザインが絞られてくると、自然と住宅会社も候補が絞られていきます。
外観のイメージが付いたら、そのイメージに近い画像をインターネットやSNSで検索し、お気に入りに入れたりスクリーンショットを撮っておいたりして、固めていきましょう。
次に、同様に内装のイメージも作っていってください。好きな色と苦手な色、家の中をどのような色合いでまとめたいか、といったざっくりとしたイメージで大丈夫です。こちらもイメージ画像を集めておくと、相談の際にビジュアル的に理想を共有しやすくなります。
②間取りの要望を書き出そう
次に、その家で暮らすうえでほしい部屋・間取り・配置・広さの希望を書き出していきます。
一から考えて家の形になるようにパズルを始めてしまうと収集が付かなくなることが多くあります。基本的には文章で箇条書きにして出していくのがよいでしょう。「キッチンはアイランドがいい、LDKで20帖ほしい」「洗面所・ランドリースペース・脱衣所はすべて別にしたい」といった感じでOKです。
自分で間取りを考えすぎてしまうと、実際に建築可能かの判断や、設計士がプランを作成するときの微調整が難しくなるので希望は箇条書きのほうがおすすめです。もしくは、間取り画像そのものを見せて、「この間取りのこの部分を取り入れたい」といった伝え方をするとよいでしょう。また、家事効率を考えると1階にすべてが集まりすぎて1階と2階のバランスが悪くなりがちです。2階に移動してもよいものなども考えておくと、設計士が柔軟な提案をしやすくなります。
③設備の理想を書き出そう
間取りのイメージがついてきたら、設備の理想もリストアップしていきます。多くの住宅会社では、標準仕様となるおすすめの設備が決まっており、機能を追加するとオプション料金が発生する仕組みになっています。メーカーによっては取り扱いできないケースも中にはありますので、「絶対にお風呂はTOTOがいい」といったこだわりがある場合は、最初にお伝えしておく必要があります。
設備の理想で書き出すものとしては、下記のようなものがあります。
・キッチンはフラットな対面、アイランド型で隣にダイニングテーブル
・食器洗い機が必須
・トイレはタンクレス希望、2階はタンクありでも可
・お風呂は1.25坪サイズがいい
・キッチンもお風呂も掃除がしやすいものがいい
・洗面所は部材を組み合わせてオリジナルのものを造作してほしい
・収納に高さを変えられる棚をつけてほしい
・太陽光発電でオール電化にしたい
・窓は断熱性能が高いものがいい
・玄関のドアは鍵がタッチ式のものがいい
といった感じでしょうか。間取り・広さの制約や予算の関係ですべては叶わないかもしれませんが、思いつくものはできるだけ書き出しておきましょう。
④いらないものを書き出そう
さまざまな家の間取り画像や内装の画像、住んでみての感想ブログなどを見て、「うちにはこれはいらないな」と思うものも書き出しておきましょう。それによって住み始めてから後悔したり、余分な設備に予算を割くことを防ぐことができます。
・天窓や吹き抜けの窓はいらない
・畳の部屋はいらない
・浴室乾燥機はいらない
・センサーの蛇口は嫌だ
・スキップフロアにはしたくない
・リビングに階段はいやだ
など、自分の家にあったら嫌なものを書き出し、打ち合わせ時に共有しておくとよいでしょう。
⑤希望に優先順位をつけよう
ここまでたくさんの希望を書き出してきましたが、おそらく多くの方はすべてを叶えるとすごく大きくて予算オーバーの家が出来上がってしまう可能性が高いです。ここから広さを候補の土地に収めつつ、家の建築費を予算内に収めるための調整をしなければならないので、優先順位を決めておくとよいでしょう。
「ここだけは実現してほしいです!」というものから、「これはできればでいいです」というものまで、それぞれに熱量が異なると思います。その差を明確にしておくことで打ち合わせ時に行き違いが起こりにくくなります。
あんまり理想やこだわりがない場合はどうすればいい?
家に対して明確な理想がわからず、これといって好きなデザインもわからないという場合は、最低限の「こうあってほしい」「これは嫌だ」という点だけははっきりさせたうえで、相談に行きましょう。今住んでいる家を基準として、「気に入っている部分」と「不便に感じている部分」を書き出しておくのがおすすめです。
セミオーダープランや規格プランを持っている住宅会社であれば、それをベースに決めていけるので、全くのゼロからイメージを膨らませるよりも効率よく家づくりを進められます。
STEP3:家の仕様を固めていこう
ここまで出来たら、さっそく住宅会社に相談に行きましょう。自分のイメージは実現可能なのか、どの会社がどこまで親身になってくれるか、いろいろと判断していかなければなりません。①プランの内容で変えたいところがないか確認
希望を伝え、各住宅会社で考えた間取りプランと設備の仕様の見積を出してもらいます。もらったプランを基に、「ここはもう少しこうしたい」「こうなっているのは困る」「この設備をこうしたい」といった要望を詰めていきましょう。②設備のオプションと予算を調整しよう
見積もりと仕様を基に、自分の希望する設備にするとどの程度金額が変動するのかを確認しましょう。予算オーバーになる場合はどこかで削らなければなりません。複数の住宅会社で見積もりを取っている場合は、どこが最も予算内で希望の仕様に近いかを比較し、契約する会社を選びましょう。③壁紙と照明を決めよう
契約までたどり着いたら、壁紙と照明などの細かい部分の調整に入ります。住宅会社によって異なりますが、インテリアコーディネーター等と相談しながら、快適に過ごせる明るさ・色味・デザインのものを選んでいきましょう。
壁紙を細かく指定したい方は、品番の間違いがないよう気を付けてください。場所の指定が細かい場合は特に、コーディネーターや担当営業、そこから現場の方に至るまで伝達ミスが起こらないようきちんと確認を取るようにしましょう。
STEP4:住宅会社を選び契約しよう
仕様が決まり、金額にも納得がいったら、契約に移ります。建物の契約だけでなく、土地の購入契約、住宅ローンの審査と契約なども必要です。①土地を契約する
家の仕様を決めている段階で土地を契約しておくことが一般的です。その土地に合わせて家のプランを考えるので、土地を先に契約しておかないと売れてしまったときに振り出しに戻ってしまうためです。②家の契約をする
家の仕様がほぼ固まり、見積内容に合意したら家の契約を行います。土地の契約と家の契約をして初めて住宅ローンで借り入れなければならない金額が確定するので、住宅ローンの本審査も進めていきます。③住宅ローンを契約する
土地と家の契約書が揃い、金額が確定したら、事前審査を通過している金融機関で本審査を行います。本審査に通過して初めて住宅ローンを借りられるので、契約に進みましょう。④契約が完了し、家の建築がスタート!
ここまで来てやっと土地の整備や家の建築が始まります。まずはいったんお疲れさまでした。ここからも、「地鎮祭や上棟式などのイベント」「ローンの決済対応」「引き渡しと引っ越しの準備」などが待っています。その都度住宅会社と連携を取り、順調に進むよう準備しておきましょう。まとめ
家づくりでは様々なことを決めていかなければなりません。中には途中で疲れてしまい、家づくりを断念してしまう人もいます。家づくりを成功させられるかは、「タイミングと勢いと住宅会社との相性」が重要です。「よし、家を建てるぞ!」と意気込むに至ったタイミング、「どんどん決めていくぞ!対応していくぞ!」という勢い、そして「話しやすく親身に対応してくれる、理想に近づけようと頑張ってくれる住宅会社」があってこそ、素敵な家づくりが実現できます。
まずはイメージを書き出して見える化すること、そしてそれを整理していく作業をしてみてください。できることから始め、躓いたら住宅会社に任せ、理想の家を作り上げていきましょう。